HOME < ビジネスサポート

ビジネスサポート

2015/8/30

熊本税理士サポート  ◆シャープや吉本興業、資本金1億円への減資を巡る税制問題とは?宮崎税務会計事務所(熊本県熊本市中央区税理士)は中小企業様の味方です。会社設立・確定申告・相続税のお悩みなら当税理士事務所をフル活用してください。

●資本金1億円への減資を巡る税制問題が話題となっている。

発端はシャープだが、テレビ番組の企画制作や「なんばグランド花月」などの劇場運営を手掛ける吉本興業(大阪市)も、資本金を現在の約125億円から1億円に減資することが分かった。同社の2015年3月期決算は、子会社株の評価損などで特別損失を計上したため最終的に32億円の赤字。今年3月末時点の利益剰余金は140億円のマイナスで、減資により取り崩す124億円を資本準備金に充てることで、財務体質の改善を図るという。

●つまり、吉本興業は、1億円への減資によって財務基盤を立て直すことが狙いなのだが、問題は、減資により資本金が1億円以下になると、税務上の「中小企業」とみなされることにある。

資本金1億円以下の中小企業には、法人税の軽減措置や法人事業税の負担が軽くなる優遇税制が数多く措置されており大企業より有利となっている。

この点が憶測を呼び批判が高まる。この税メリットを狙って、資本金を1億円以下にとどめたり、減資を検討する大企業は少なくない。

●今年5月には経営再建中のシャープが1200億円以上ある資本金を1億円に減資することを検討したが、この計画が明らかになると、中小企業を念頭に行われている優遇税制を大企業が意図的に活用するのは問題であるなどといった批判が、政府を始め各方面から殺到した。このためシャープは5億円の減資にとどめた経緯がある。

●しかし、例えば、軽減税率が適用されるのは申告所得の800万円までであり、税額でいえば高々100万円前後に過ぎない。

ところが、シャープに対する批判の根底には、所得全額に軽減税率が適用されるという誤解に基づく根拠の薄い義憤があったことがうかがえる。

この問題を取り上げた日本経済新聞朝刊(6月26日付)のコラム『大機小機』は、「大企業が1億円にまで減資するのはひとつの経営判断であり、法人税法上、これを妨げる規定はない」と指摘する。

●続けて、「より重要な問題は、優遇税制の存在自体が増資意欲をそぐ方向で作用したり、財務基盤の拡充意欲を減殺するなど、中小企業の資本政策をゆがめる方向で機能していることである。

根本的な原因は、資本金という意図的な操作が可能な経営指標が優遇税制の基準に採用されている仕立てにある」として、「こうした問題の発生を回避するためにも、従業員数など経営規模に連動する指標を基準に採用すること」を提案している。

なお、吉本興業の減資については今年6月の株主総会ですでに承認されており、9月1日付で実施する予定となっている。

お問い合わせはこちらからどうぞ