事務所ブログ

2010/7/3

熊本税理士ブログ

◆なぜ相続財産の申告もれがわかるのでしょうか?

 平成19年中にお亡くなりになった方は、約111万人いらっしゃいましたが、そのうちの4.2%相当である約47,000人の方が相続税の申告対象者でした。

 
相続税の申告対象となるのは、お亡くなりになった方の財産(債務や葬式費用などを除きます。)が
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数を超える場合です。
 
 たとえば、Aさんが妻と子ども1人を残してお亡くなりになったのであれば、
Aさんの財産が7,000万円(5,000万円+1,000万円×2人(妻、子))を超えたら相続税の申告対象となります。

 
 ところで、約47,000件あった申告数のうち、全体の約29%(13,845件)が調査対象となり、申告漏れと指摘された件数は調査対象の85.8%(11,884件)ありました。

 
 申告漏れ財産の約3分の1は、現金・預貯金です。株式や債券などの有価証券、土地は、約6分の1ずつでした。申告漏れの主な理由は、現金・預貯金は、帰属認定、土地は評価誤りが多いようでしたが、なぜ、申告漏れの財産が分かってしまうのでしょうか。

 
 亡くなれば死亡届を市区町村に届け出ます。これはお分かりのことだと思いますが、死亡届を受理した市区町村は翌月末までに所轄税務署長へその旨を通
知します(相法58)。
俗に「58条通知」と言われる行為です。
このことをご存知の方はどれほどいらっしゃるでしょうか。

 税務署は、この通知をもとに国税総合管理(KSK)システムのデータベースと照合し、死亡者の過去の確定申告状況などを把握し、どの程度財産があるのかを把握します。
この把握材料は、確定申告だけではありません。
株式等であれば証券会社等から提出される支払調書がありますし、海外送金されたのであれば、その実績が送金金融機関から提出されています。
 マスコミなどで取り上げられた方であれば、それらの情報も署内に蓄積されているようです。

 もちろん、分からないように現金や金地金等を自宅や貸金庫に隠匿したり、遠隔地の金融機関を利用して除外したり、海外の財産を除外したり、などの悪質なケースもあるようですが、「これだけの収入があれば、このくらいは財産として存在するはず」というセオリーがあるわけですから、突き詰めて照合していけば、自ずと申告漏れの財産が特定されていくわけです。

 
「分かるはずがない」と思っていても、把握する材料は思いのほかたくさんあるということを肝に銘じておきましょう。

相続税のご相談は、熊本県熊本市の宮崎税務会計事務所へ



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